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第11回安心をつくるセキュリティ工事講座

皆さんこんにちは!

株式会社橋本電工、更新担当の中西です。

 

~変遷~

 

防犯カメラは「映す」装置から、“気づく・知らせる・役立てる”運用の仕組みへ。
工事会社の仕事も、配線・架台だけでなくネットワーク・データ・サイバーまで広がりました。
ここでは、現場目線で技術・ニーズ・工事の勘所の変遷をまとめます。


1|〜1990s:アナログCCTVの時代(抑止と記録)

  • 同軸+VTR/タイムラプス、マトリクス切替で監視室に表示。

  • 目的は抑止と事後検証。設計は視野角・焦点距離・照度が中心。

  • 工事の勘所:同軸端末処理、電源分離、ハウジング・ブラケットの耐候・防錆

2|2000s:DVRでデジタル化(検索性が価値に)

  • DVR+H.264で長時間録画・日付検索が容易に。

  • メガピクセルの登場、遠隔モニタ(PC/携帯)普及。

  • 工事の勘所:同軸を活かしてDVRに更新、外部接点で警報連携。

3|2010s:IPカメラ&NVR/VMS(高解像度・PoE・標準化)

  • **PoE(802.3af/at)**で配線がシンプルに。4MP〜4K、WDR・IRで逆光/夜間に強く。

  • ONVIFでメーカー混在が容易、VMSで多拠点統合。

  • **アナログHD(AHD/TVI/CVI)**も台頭し、既存同軸を活かした高解像度化が進む。

  • 工事の勘所:Cat5e/6&光、スイッチ選定、帯域・保存日数の計算(H.264/H.265)。

4|2020s:AI・クラウド・ゼロトラスト(“気づき”で運用を変える)

  • エッジAI解析(人物/車両検知、侵入・徘徊、置き去り、混雑、LPR/ALPR)。

  • クラウド管理・VSaaS:現地はエッジ録画+クラウド設定/ヘルス監視が主流に。

  • サイバー・プライバシー:強固な初期設定、証跡、プライバシーマスキング・録画範囲の合意

  • 省エネ・小型化:低照度“フルカラー”、サーマル/レーダーとのセンサー融合

  • 工事の勘所:VLAN/PoE+(802.3bt)/冗長電源、遠隔保守、ファーム運用。


5|ニーズの変化:録る→活かす→守りながら拡張する

時代 主目的 ニーズの要点
アナログ 記録・抑止 低コスト・長時間録画・見通し設置
DVR期 検索性 事件時の時刻・場所特定、保存日数
IP/VMS期 可視化・多拠点 高解像度・PoE・統合監視、アラート連携
AI/クラウド期 “気づき”と運用DX 誤検知抑制レポートリモート保守サイバー&プライバシー適合

いまは「検知品質×運用のしやすさ×守れる設計」が選定軸。


6|工事会社の役割は“電気×ネットワーク×セキュリティ”

  • 現調:FOV/ピクセル密度(px/m)、照度、逆光・IR反射、死角。

  • 設計:PoE予備、VLAN、保存計画(H.265/ビットレート×日数)、ライザ・架設の強度。

  • 施工:端末処理・接地・サージ・パッキン・結露対策、屋外等級(IP66/IK10)

  • 初期設定:強制パスワード変更、時刻同期、更新計画、プライバシーマスク

  • 保守:SLA、遠隔ヘルスチェック、ファーム配信、年次清掃・再調整。


7|“やりがい”はどこにある?(役割別)✨

  • 設計1台で2役の画角や、AIの検知範囲がピタリとハマった時の快感。

  • 施工:高所・狭所でケーブル取り回しが美しく納まり、雨風の後も安定稼働する手応え。

  • ネットワーク/設定:アラートが誤検知少なく正しく届く、検索1分で映像が出る設計の達成感。

  • 保守:障害前に異常を拾い止めない運用を実現、顧客からの「安心できた」の言葉。

  • 営業/PM:**LCC(機器+保守+通信)**で納得をつくり、価格以外で選ばれる提案の醍醐味。


8|“今日から”現場で役立つチェック ✅

設計前ヒアリング

  • 何を検知/記録したい?(人物識別・車番・人数・侵入)

  • 保存日数・検索頻度、夜間照明の有無、プライバシー配慮範囲

  • 既存配線(同軸/UTP/光)と再利用可否、上位システムとの連携

配置・仕様

  • カメラごとのpx/m目標(人物識別なら≥150〜250px/m目安)

  • 逆光/WDR、IRの反射物(白壁・看板)チェック

  • PoE電源余裕30%、スイッチ冗長、落雷・サージ対策

録画・ネットワーク

  • H.265/可変ビットレート、動体時高画質、スマートコーデック

  • VLAN/ACL、装置の初期パス変更・不要ポート閉鎖

  • 通知運用(誰に・いつ・どうやって)とエスカレーション


9|“提案が通る”3プラン(Good/Better/Best)

  • Good(基本):4MP固定+NVR、H.265、保存14–30日、最低限のリモート閲覧。

  • Better(運用DX):エッジAI(侵入/徘徊/人数)、PoE冗長・VLAN遠隔ヘルス監視、運用レポート。

  • Best(多拠点・高信頼):マルチセンサー+PTZ、クラウド管理、LPR/混雑分析、サイバー運用基準とSLA付き。
    → それぞれ検知率・誤検知率・検索時間・LCCの期待値を添えると比較しやすい。


10|KPIで“品質”を可視化 📊

  • 可用性:録画欠損率、機器稼働率、通知到達率

  • 検知:検知率・誤検知率、一次対応までの平均時間

  • 運用:検索に要する平均時間、月次レポート提出率

  • 経済:LCC、通信・保守費、電力原単位(kWh/台)


11|これからの10年:融合・匿名化・持続可能性

  1. センサー融合:カメラ×レーダー/サーマル/音響で天候・夜間でも安定検知

  2. プライバシー保護オンデバイス匿名化・自動マスキング・最小保存主義。

  3. ゼロタッチ運用:クラウドで一括設定・一括更新、AIで障害予兆

  4. グリーンIT:省電力SoC、録画のイベント最適化、機器の長寿命化。

  5. 標準とセキュアサプライ:相互接続と供給リスク対策の両立。


映像“装置”から運用“仕組み”へ

同軸→IP→AI/クラウドの進化で、価値は**“録る”から“活かす”**へ。
工事会社は、電気×ネットワーク×セキュリティの総合力で
**「見たいものが、必要なときに、迷わず出てくる」**環境を再現する。
その再現性こそが、選ばれる理由であり、やりがいの源泉です。🔒✨

 

 

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